[12] 気になる男とのデートは秘密にしなさい

あの後、拓也さんに聞いてみたけど「僕はそんな事聞いてないです。」と言われて困ってしまったけど何とか誤魔化しておいた。
悪気はないかもしれないけどモヤモヤしてしまっている自分がいた。
それでも良い事も起きるのが人生だ。
実はリョウさんの勤務してる美容室の近くに新しく出来たオシャレな本屋があって、仕事の時間までなら時間あるからと一緒に行けることになったのだ。
デート、…ではないかもしれないけど限りなくデートに近いお出かけにワクワクする。
カフェモームでコーヒーを飲みながらリョウさんと待ち合わせの時間まで暇を潰そうと思ってたいると希美子さんが優雅に紅茶を飲んでいた。
「希美子さん、こんにちは!」
「あら、七瀬ちゃん。」
あの香水のアドバイスの後、たまにこうやって会った時に挨拶をしている。あのアドバイス抜群でしたと告げると嬉しそうに笑っていた。
「七瀬ちゃん、最近どうかしら?」
「おかげさまで原稿もいい感じだし今日も嬉しい事があるんです。」
それは良いわねぇと言って希美子さんは優しく微笑んだ後に瞳にだけ真剣な光を宿した。
「七瀬ちゃん、気になる男とのデートは他人には秘密にしなくちゃだめよ。」
ドキっとした。
「女の子はね、気になる男とデートする時はそういうオーラが出てるの。だからデートを成功させたかったら誰にも言ってはだめよ。」
それだけ言うと希美子さんは、いつもの優しい瞳に戻して紅茶を飲んだ。