[13] こんな日も悪くない2
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「あ、えーっと、今日はリョウさんとももちゃんと来てて今からカフェでお茶してから帰る予定だったんです。」
「あー、…そうなんですね。」
少しだけ残念そうな顔をして拓也さんは少し気まずそうにしている。
「えっと、拓也さんさえ良かったらカフェ一緒に行きます?たぶん皆んな集まってる頃だと思いますし。」
「え、突然行ったら迷惑じゃないですか?」
「ううん。皆んなたまたま揃って来てるだけだから。同じアパートなんだし大丈夫ですよ。」そう言うと拓也さんは少しホッとしたような顔になった。
待ち合わせのカフェまで拓也さんと並んで歩く。申し訳ないと断ろうとしたけど拓也さんからの申し出で私が大量に買った本を持ってくれている。その間に早速作ったばかりのLINEグループで皆んなに拓也さんとバッタリ会ったので合流するねと伝えおいた。リョウさんからの了解の一言と、ももちゃんからの可愛らしいピンクのウサギがOKとぴょんぴょん動いているスタンプが来て、私もホッとする。
歳が割と違い事もあるのか、このマンションの住人はなんだかんだで仲が良いのだ。時々アパートの下のカフェで鉢合わせになるとおしゃべりしたりもするし。
そんな事を考えながら拓也さんと歩いていると待ち合わせのカフェに着いた。外から中の様子を伺っていると、既に中に入っていたリョウさんが気が付き、一緒に中で座っていたももちゃんに伝えたようで、ももちゃんが手をヒラヒラと振って、口をパクパクさせて、ここだよ!と言っていた。
カフェの中は大きな窓から入る光と白を基調としたスッキリとした今風のインテリアをしていた。4人掛けの席で先に着いたリョウさんとももちゃんは並んで座っていたので、私も拓也さんと並んで座ることになった。
「こんにちは。突然すみません。」
ぺこりと拓也さんが挨拶をすると、みんな笑いながら迎えくれた。
しばらくお喋りをして各々が買った本を自慢しているとオーダーしたコーヒーがやって来た。一口飲んで案外美味しかった。最近は渚さんの淹れてくれたコーヒーばかり飲んで口が肥えてしまっていたので新しい美味しいコーヒーに出会えて嬉しくなる。
「ごめん、俺そろそろ仕事の時間だから先に行くね。」
既に飲み干したカップをソーサーに戻しながらリョウさんが言った。これお願いと拝むように手を合わせてコーヒー代を置いて、みんなはごゆっくりと言って軽やかに去って行った。